ファイアウォール(Firewall)とは?

📚 目次

  1. 🔍ファイアウォールとは?
  2. ⚙️ファイアウォールの仕組み
  3. 🔄ファイアウォールの種類
  4. 🛡️ファイアウォールの主な機能
  5. ⚠️ファイアウォールがオフの場合のリスク
  6. 🚪ポートとは?
  7. 📝まとめ

ファイアウォールとは

ファイアウォール(Firewall) は、ネットワークのセキュリティを守るための装置やソフトウェアで、不正なアクセスや有害な通信をブロックする役割を持っています。

ファイアウォールは、ネットワークの境界で通信を監視し、事前に設定されたルールに基づいて許可または拒否の判断を行います。これにより、企業や個人のコンピュータシステムを外部からの脅威から守ることができます。

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🏠 わかりやすい例え:ファイアウォールは家の「門番」

ファイアウォールを理解するために、家の「門番」に例えてみましょう。

  • あなたの家(内部ネットワーク)には、玄関(ネットワークの出入口)があります
  • 門番(ファイアウォール)は、訪問者(通信データ)が家に入ろうとするとき、身分証明書(IPアドレスやポート番号などの情報)をチェックします
  • 信頼できる訪問者(正規の通信)のみが家に入ることを許可され、不審な人物(悪意のある通信)は入ることができません
🏠 内部ネットワーク  <--->  🚪 ファイアウォール(門番)  <--->  🌐 インターネット
    安全な領域                  通信の監視・制御                 外部からの脅威

ファイアウォールの仕組み

ファイアウォールは、通信データを「パケット」と呼ばれる小さな単位で監視・制御しています。

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通信の流れ

  1. インターネットから送られてくるデータパケットを受信
  2. パケットのヘッダー情報(送信元/送信先のIPアドレス、ポート番号など)を確認
  3. 事前に設定されたルールと照合
  4. ルールに一致する場合は通信を許可、一致しない場合は遮断

ファイアウォールの種類

ファイアウォールには主に以下の種類があります:

1. 導入形態による分類

パーソナルファイアウォール

個々のコンピュータを保護するためのファイアウォールです。WindowsやMacなどのOSに標準で搭載されています。

🖥️ コンピュータ
└── 🛡️ パーソナルファイアウォール
    └── 🌐 インターネット接続

ネットワークファイアウォール

企業や組織のネットワーク全体を保護するためのファイアウォールです。ルーターに組み込まれていたり、専用のハードウェアとして提供されることが多いです。

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2. 監視・制御方式による分類

パケットフィルタリング型

通信データを「パケット」単位で分析し、送信元/送信先のIPアドレスやポート番号に基づいて通信の可否を判断します。処理が単純なため高速ですが、パケットの中身までは検査しません。

📦 パケット
├── 📋 ヘッダ情報(検査対象)
│   ├── 🔍 送信元IPアドレス
│   ├── 🔍 送信先IPアドレス
│   ├── 🔍 ポート番号
│   └── 🔍 プロトコルタイプ
└── 📄 データ部分(検査しない)

アプリケーションゲートウェイ型

HTTP、FTPなどのアプリケーションプロトコルごとに通信を解析・制御します。パケットの中身も検査するため、より詳細なセキュリティ制御が可能ですが、処理速度は遅めです。

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ステートフルインスペクション型

パケットフィルタリングの進化版で、通信の状態(コネクションの確立状況など)も考慮して判断します。送信元IPアドレスの偽装も検知できるため、セキュリティレベルが高いです。

🔄 通信の状態管理テーブル
├── 🔗 確立済みのコネクション情報
├── 🕒 通信の開始時間
├── 🔍 通信の方向
└── 📊 パケットのシーケンス情報

ファイアウォールの主な機能

1. 通信フィルタリング

あらかじめ設定したルールに基づいて、通信の許可/遮断を行います。

✅ 許可ルール:
- 送信元IP: 10.0.0.1, 宛先ポート: 80 (Web閲覧) → 許可
- 送信元IP: 社内ネットワーク, 宛先ポート: 443 (セキュアWeb) → 許可

❌ 拒否ルール:
- 送信元IP: 不明な外部IP, 宛先ポート: 3389 (リモートデスクトップ) → 拒否
- すべての送信元, 宛先ポート: 445 (SMB) → 拒否

2. NAT(Network Address Translation)

内部ネットワークのプライベートIPアドレスを、外部向けのグローバルIPアドレスに変換します。内部のIPアドレスを隠すことで、セキュリティを向上させます。

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3. ログ監視・通知

不正なアクセスを検知した場合、ログに記録し管理者に通知します。

📝 ファイアウォールログの例:
[2025-05-17 14:30:15] ALERT: 送信元IP 203.0.113.100からポート22への不正アクセス試行をブロック
[2025-05-17 14:35:22] INFO: 内部IP 192.168.1.5からのHTTPS通信を許可
[2025-05-17 14:40:05] WARNING: 30分間で同一IPからの接続試行が10回以上発生

ファイアウォールがオフの場合のリスク

ファイアーウォールがオフの場合は、玄関が施錠されていない状態に近いです。必ずしもウイルス感染や攻撃を受けるとは限りませんが、被害にあう可能性がかなり高くなります

  • 門番(ファイアウォール)が不在になり、誰でも自由に出入りできる状態になります
  • 不審者(悪意ある通信)が身分証明書(通信情報)をチェックされることなく家に入れるようになります
  • 貴重品(機密情報)が置かれた部屋のドアも施錠されていなければ、容易に盗まれる恐れがあります
  • 一度不審者が家に入ると、他の不審者を招き入れる可能性もあります(マルウェア感染による二次被害)

つまり、ファイアウォールをオフにすることは、セキュリティの第一関門を取り除くことと同じなのです。

具体的なリスクとしては:

  • 外部からの不正アクセスが容易になる
  • マルウェアやウイルスに感染しやすくなる
  • 個人情報や機密情報が漏洩するリスクが高まる
  • ハッキングの標的になりやすい
  • バックドアと呼ばれる裏口が作られ、継続的な侵入経路になる可能性がある

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ポートとは

ポートとは、コンピュータがインターネット上の通信で使用する「出入り口」のようなものです。特定のポートを開ける作業は、エアコンの通気口の穴を開けるように、必要な通信に対して個別で許可を与えたり、拒否したりすることが可能です。

各サービスごとに決まったポート番号があります:

  • Webブラウジング:80番(HTTP)、443番(HTTPS)
  • メール:25番(SMTP)、110番(POP3)
  • ファイル転送:21番(FTP)
  • リモート接続:22番(SSH)
🏢 コンピュータの「ポート」
├── 🚪 ポート80:Webサイト閲覧用の出入り口
├── 🚪 ポート443:暗号化されたWeb通信用の出入り口
├── 🚪 ポート25:メール送信用の出入り口
├── 🚪 ポート110:メール受信用の出入り口
└── 🔒 その他のポート:通常は閉じている(必要に応じて開放)

通常、必要なポートだけを開放し、他のポートは閉じておくことでセキュリティを確保します。

まとめ

ファイアウォールは、ネットワークセキュリティの基本となる重要な技術です。外部からの不正アクセスや攻撃から内部ネットワークを守るために、通信データを監視・制御します。

ポイントをおさらいしましょう:

  1. ファイアウォールは「ネットワークの門番」として機能し、不正なアクセスをブロックする
  2. 種類には「パーソナルファイアウォール」と「ネットワークファイアウォール」がある
  3. 主な機能は通信フィルタリング、NAT、ログ監視など
  4. ファイアウォールをオフにすると、セキュリティリスクが大幅に高まる
  5. ポートは通信の「出入り口」であり、必要なポートだけを開放することが重要

ファイアウォールを正しく設定・運用することで、安全なネットワーク環境を構築しましょう!