Network

🔐 SSH設定ガイド - 図解集

Network

目次

  1. SSH接続の基本構造
  2. よくあるSSH接続エラー
  3. SSH設定の完全な流れ
  4. SSHサービスの状態確認
  5. OpenSSHサーバーのインストール手順
  6. ファイアウォール設定の詳細
  7. SSH接続テストと確認
  8. セキュリティ強化設定
  9. トラブルシューティング早見表
  10. 設定完了チェックリスト

SSH接続の基本構造

!Image Description

💡 重要: SSH接続には、サーバー側でSSHデーモン(sshd)が動作している必要があります。

よくあるSSH接続エラー

❌ Connection Refused エラー

ssh: connect to host 192.168.1.100 port 22: Connection refused

原因: SSHサービスが起動していない、またはポートがブロックされている

❌ Connection Timeout エラー

ssh: connect to host 192.168.1.100 port 22: Connection timed out

原因: ネットワーク的に到達できない(ファイアウォール、ルーティング問題)

✅ 正常な接続

Welcome to Ubuntu 22.04.1 LTS (GNU/Linux 5.15.0-56-generic x86_64) ubuntu@server:~$

SSH設定の完全な流れ

!Image Description

SSHサービスの状態確認

🔍 サービス状態の確認コマンド

!Image Description

📊 各状態の意味

状態意味対処法
active (running)正常動作中そのまま接続可能
inactive (dead)停止中systemctl start ssh
disabled自動起動無効systemctl enable ssh

OpenSSHサーバーのインストール手順

📦 Ubuntu/Debian系

!Image Description

SSH接続を可能にする完全ガイド

Network

目次

  1. SSHとは何か基本知識
  2. SSH接続エラーの確認
  3. SSHサービスの詳細確認
  4. OpenSSHサーバーのインストール手順
  5. SSHサービスの起動と有効化
  6. ファイアウォール設定の詳細
  7. SSH設定ファイルのカスタマイズ
  8. 接続テストと最終確認
  9. セキュリティ強化設定
  10. トラブルシューティング完全版

SSHとは何か基本知識

🔐 **SSH(Secure Shell)**は、ネットワーク越しに別のコンピューターに安全に接続して操作するためのプロトコルです。

SSHの仕組みと重要性

要素説明重要度
🔒 暗号化全ての通信が暗号化される⭐⭐⭐⭐⭐
🔑 認証パスワードや公開鍵で本人確認⭐⭐⭐⭐⭐
🖥️ リモート操作遠隔地からコマンド実行⭐⭐⭐⭐
📁 ファイル転送SCP/SFTPで安全にファイル送受信⭐⭐⭐⭐
🚇 ポートフォワード他のサービスを安全にトンネリング⭐⭐⭐

SSH接続の基本構造

クライアント側                     サーバー側
┌─────────────┐                ┌─────────────────┐
│ ssh client  │ ←─ 暗号化通信 ─→ │ sshd (daemon)   │
│ (例: Ubuntu)│     ポート22     │ (例: Ubuntu)    │
└─────────────┘                └─────────────────┘

💡 重要: SSHはクライアント・サーバーモデルです。接続される側(サーバー)にSSHデーモン(sshd)が動作している必要があります。

SSH接続エラーの確認

まず、実際にSSH接続を試行してエラーの詳細を確認しましょう。

基本的な接続コマンド

ssh ユーザー名@IPアドレス

実際の例:

ファイアウォール(Firewall)とは?

Network

📚 目次

  1. 🔍ファイアウォールとは?
  2. ⚙️ファイアウォールの仕組み
  3. 🔄ファイアウォールの種類
  4. 🛡️ファイアウォールの主な機能
  5. ⚠️ファイアウォールがオフの場合のリスク
  6. 🚪ポートとは?
  7. 📝まとめ

ファイアウォールとは

ファイアウォール(Firewall) は、ネットワークのセキュリティを守るための装置やソフトウェアで、不正なアクセスや有害な通信をブロックする役割を持っています。

ファイアウォールは、ネットワークの境界で通信を監視し、事前に設定されたルールに基づいて許可または拒否の判断を行います。これにより、企業や個人のコンピュータシステムを外部からの脅威から守ることができます。

!Image Description

🏠 わかりやすい例え:ファイアウォールは家の「門番」

ファイアウォールを理解するために、家の「門番」に例えてみましょう。

  • あなたの家(内部ネットワーク)には、玄関(ネットワークの出入口)があります
  • 門番(ファイアウォール)は、訪問者(通信データ)が家に入ろうとするとき、身分証明書(IPアドレスやポート番号などの情報)をチェックします
  • 信頼できる訪問者(正規の通信)のみが家に入ることを許可され、不審な人物(悪意のある通信)は入ることができません
🏠 内部ネットワーク  <--->  🚪 ファイアウォール(門番)  <--->  🌐 インターネット
    安全な領域                  通信の監視・制御                 外部からの脅威

ファイアウォールの仕組み

ファイアウォールは、通信データを「パケット」と呼ばれる小さな単位で監視・制御しています。

!Image Description

通信の流れ

  1. インターネットから送られてくるデータパケットを受信
  2. パケットのヘッダー情報(送信元/送信先のIPアドレス、ポート番号など)を確認
  3. 事前に設定されたルールと照合
  4. ルールに一致する場合は通信を許可、一致しない場合は遮断

ファイアウォールの種類

ファイアウォールには主に以下の種類があります:

1. 導入形態による分類

パーソナルファイアウォール

個々のコンピュータを保護するためのファイアウォールです。WindowsやMacなどのOSに標準で搭載されています。

🖥️ コンピュータ
└── 🛡️ パーソナルファイアウォール
    └── 🌐 インターネット接続

ネットワークファイアウォール

企業や組織のネットワーク全体を保護するためのファイアウォールです。ルーターに組み込まれていたり、専用のハードウェアとして提供されることが多いです。

!Image Description

2. 監視・制御方式による分類

パケットフィルタリング型

通信データを「パケット」単位で分析し、送信元/送信先のIPアドレスやポート番号に基づいて通信の可否を判断します。処理が単純なため高速ですが、パケットの中身までは検査しません。

📦 パケット
├── 📋 ヘッダ情報(検査対象)
│   ├── 🔍 送信元IPアドレス
│   ├── 🔍 送信先IPアドレス
│   ├── 🔍 ポート番号
│   └── 🔍 プロトコルタイプ
└── 📄 データ部分(検査しない)

アプリケーションゲートウェイ型

HTTP、FTPなどのアプリケーションプロトコルごとに通信を解析・制御します。パケットの中身も検査するため、より詳細なセキュリティ制御が可能ですが、処理速度は遅めです。

🔍 DNS解説_インターネットの住所録を司る仕組み

Network

📚 はじめに

私たちが日常的にインターネットを使う時、「google.com」や「youtube.com」などのわかりやすい名前を入力することでウェブサイトにアクセスできます。しかし、コンピュータの世界では、これらのウェブサイトは実際には「172.217.175.110」のような数字の羅列(IPアドレス)で管理されています。この「名前」と「住所」を結びつける仕組みが「DNS(Domain Name System)」です。この記事では、DNSの基本から仕組み、活用方法までを初学者向けにわかりやすく解説します。

🤔 DNSとは?

DNS(Domain Name System)は、人間が覚えやすいドメイン名(例:example.com)をコンピュータが理解できるIPアドレス(例:93.184.216.34)に変換するシステムです。

🏫 たとえで理解しよう
DNSは「電話帳」や「住所録」のようなものです。友達に電話をかけるとき、私たちは11桁の電話番号を全部覚えるのではなく、「田中さん」という名前から電話帳で番号を調べます。同様に、コンピュータもDNSを使って「google.com」という名前から対応するIPアドレスを調べるのです。

!Image Description

🎯 DNSの役割と重要性

✅ DNSの主な役割

  1. 🔤→🔢 名前解決: ドメイン名をIPアドレスに変換する
  2. 🔄 負荷分散: 同じドメイン名に複数のIPアドレスを関連付けることでトラフィックを分散
  3. 📧 メール配送: メールサーバーの場所を特定するためのMXレコードを提供
  4. 🔌 サービス検出: 特定のサービスを提供するサーバーの情報を提供

🌟 DNSの重要性

DNSがなければ、インターネットは今日のように使いやすいものにはなりませんでした。以下のような重要な役割を果たしています:

  • 🧠 記憶の補助: 複雑なIPアドレスの代わりに覚えやすい名前を使用可能に
  • 🔄 柔軟性: サーバーのIPアドレスが変わっても、同じドメイン名でアクセス可能
  • 🚀 効率性: キャッシュ機能により高速なアクセスを実現
  • 🌐 グローバル化: 分散型のシステムにより世界中どこからでも名前解決が可能

!Image Description

🏗️ DNSの階層構造

DNSは階層的な構造になっており、「ドメイン名空間」と呼ばれる木構造を形成しています。この構造のおかげで、効率的な名前解決が可能になっています。

🌳 ドメイン名の階層

  • 🔝 ルート(.): 最上位層(通常は表記されない)
  • 🌐 トップレベルドメイン(TLD): .com, .org, .net, .jp などの最上位の分類
  • 🏢 セカンドレベルドメイン(SLD): example.com の「example」部分
  • 🔍 サブドメイン: blog.example.com の「blog」部分

!Image Description

🌐 TCP_IP解説_Part01_インターネット通信の基盤プロトコル

Network

📚 はじめに

私たちが日常的に使うインターネットやネットワーク通信の裏側では、「TCP/IP」と呼ばれるプロトコル群が働いています。Webサイトの閲覧、メールの送受信、動画ストリーミング、オンラインゲームなど、あらゆるインターネット通信の基盤となっているのがこのTCP/IPです。この記事では、ネットワークの初学者向けに、TCP/IPの基本概念から仕組み、各プロトコルの役割までをわかりやすく解説します。

🤔 TCP/IPとは?

TCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)は、コンピュータネットワーク通信のための標準化されたプロトコル(通信規約)の集合体です。インターネットの基盤技術として世界中で使われており、異なるハードウェアやソフトウェアの間でデータをやり取りするための共通言語となっています。

🏫 たとえで理解しよう
TCP/IPは「国際郵便システム」のようなものです。手紙(データ)を送るとき、郵便局(ネットワーク)は差出人や宛先の住所(IPアドレス)を見て、適切な経路で配達します。また、大きな荷物(データ)は小分け(パケット)にされ、宛先で正しく組み立て直されます。このルールが世界共通だからこそ、誰でも国際郵便が使えるように、どんなデバイスでもTCP/IPを使えばインターネットに接続できるのです。

!Image Description

🏗️ TCP/IPの階層構造

TCP/IPは、複雑なネットワーク通信をシンプルに管理するために、「階層構造」を採用しています。この階層構造は、当初のOSI参照モデル(7層)を簡略化した4層(または5層)モデルとして知られています。

🔍 TCP/IPの4層モデル

!Image Description

🎓 なるほど!ポイント
TCP/IPの階層構造は「会社の組織」のようなものです。最下層の社員(ネットワークインターフェース層)が基本的な業務を担当し、中間管理職(インターネット層、トランスポート層)が調整や監視を行い、経営陣(アプリケーション層)がユーザーとの対話を担当します。それぞれの層が責任を分担することで、複雑な仕事(通信)がスムーズに行われるのです。

📋 各層の役割と主なプロトコル

1️⃣ ネットワークインターフェース層(リンク層)

  • 📶 役割: 物理的な接続を管理し、ビット単位のデータを転送
  • 🔧 主なプロトコル: Ethernet(イーサネット)、Wi-Fi(IEEE 802.11)、PPP(Point-to-Point Protocol)
  • 💼 扱う単位: フレーム
  • 🎯 アドレス: MACアドレス(物理アドレス)

!Image Description

2️⃣ インターネット層(ネットワーク層)

  • 🌐 役割: 異なるネットワーク間でのパケットの経路選択(ルーティング)
  • 🔧 主なプロトコル:
    • IP(Internet Protocol): ネットワーク間の通信を可能にする
    • ICMP(Internet Control Message Protocol): エラー報告やネットワーク診断
    • ARP(Address Resolution Protocol): IPアドレスからMACアドレスへの変換
  • 💼 扱う単位: パケット
  • 🎯 アドレス: IPアドレス(論理アドレス)

!Image Description

🌐 TCP_IP解説_Part02_インターネット通信の基盤プロトコル

Network
「🌐 TCP_IP解説_Part01_インターネット通信の基盤プロトコル」の続きです。

🔄 TCP/IPの通信プロセス

実際のTCP/IP通信は、各層を上から下、下から上へとデータが移動することで行われます。これをカプセル化・非カプセル化と呼びます。

📦 カプセル化と非カプセル化

!Image Description

💡 初学者向けポイント
カプセル化は「箱詰め」のようなものです。手紙(データ)を書いて(アプリケーション層)、封筒に入れて(トランスポート層)、宛先を書いて(インターネット層)、最後に配達用の袋に入れる(ネットワークインターフェース層)イメージです。受信側では逆の順序で「開封」していきます。

📝 具体例:ウェブページにアクセスする場合

  1. 📱 アプリケーション層: ブラウザがHTTP要求を作成

    GET /index.html HTTP/1.1
    Host: www.example.com
    
  2. 🔄 トランスポート層: TCPがポート番号を追加し、データを分割

    送信元ポート: 49152(クライアント)
    宛先ポート: 80(HTTP)
    シーケンス番号: 1000
    ...
    
  3. 🌐 インターネット層: IPがパケットにアドレスを追加

    送信元IP: 192.168.1.5(クライアントPC)
    宛先IP: 93.184.216.34(www.example.com)
    ...
    
  4. 📶 ネットワークインターフェース層: イーサネットフレームにMACアドレスを追加

    送信元MAC: 00:1A:2B:3C:4D:5E(クライアントPC)
    宛先MAC: 00:E0:81:5C:7D:1F(ルーター)
    ...
    
  5. 📡 物理媒体: ビットがケーブルや無線で転送される

  6. ⬆️ 受信側: 上記の逆の順序でデータを処理し、最終的にWebサーバーがHTTP要求を処理し、応答を返す

🔍 TCP/IPの主要プロトコル詳細

🌐 IP(Internet Protocol)

IPは、インターネット層の中核プロトコルで、パケットの配送と経路選択を担当します。

IPv4 とIPv6

  • 📌 IPv4: 32ビットアドレス(例:192.168.1.1)、約43億個のアドレスを提供
  • 📌 IPv6: 128ビットアドレス(例:2001:0db8:85a3:0000:0000:8a2e:0370:7334)、ほぼ無限のアドレス空間

!Image Description

🔄 DHCP解説_ネットワークの自動設定を司る仕組み

Network

📚 はじめに

パソコンやスマートフォンをWi-Fiに接続すると、特に設定をしなくても自動的にインターネットが使えるようになります。この便利な仕組みを支えているのが「DHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)」です。この記事では、初学者向けにDHCPの基本から仕組み、活用方法までをわかりやすく解説します。

🤔 DHCPとは?

DHCPは「Dynamic Host Configuration Protocol(動的ホスト構成プロトコル)」の略で、ネットワークに接続するデバイスに対して、IPアドレスなどの設定情報を自動的に割り当てるプロトコル(通信規約)です。

🏫 たとえで理解しよう
DHCPは「自動受付システム」のようなものです。新しい生徒(デバイス)が学校(ネットワーク)に来ると、受付(DHCPサーバー)が「あなたの席番号(IPアドレス)は5番です」「職員室(ゲートウェイ)はこちらです」「図書室(DNSサーバー)はあちらです」と必要な情報を教えてくれます。

🎯 DHCPの役割と重要性

✅ DHCPが提供する主な情報

DHCPは接続デバイスに対して、以下のような情報を自動的に提供します:

  1. IPアドレス: ネットワーク上でデバイスを識別するための番号
  2. サブネットマスク: ローカルネットワークの範囲を定義
  3. デフォルトゲートウェイ: インターネットへの出入り口となるルーターのアドレス
  4. DNSサーバーアドレス: ドメイン名をIPアドレスに変換するサーバーの場所

🌟 DHCPのメリット

  • ⚙️ 自動化: ネットワーク設定を手動で行う手間が省ける
  • 🔄 効率的なIPアドレス管理: 使われていないIPアドレスを再利用できる
  • 🚀 簡単な導入: 新しいデバイスをネットワークに追加する際の設定が不要
  • 🔧 一元管理: ネットワーク全体の設定を一箇所で管理できる

!Image Description

🔄 DHCPの仕組み:4ステップ

DHCPによるIPアドレスの割り当ては、「DORA」と呼ばれる4つのステップで行われます:

1. 📣 Discover(探索)

  • デバイスがネットワークに接続すると、「DHCPサーバーはいますか?」というメッセージをブロードキャスト(全体に向けて送信)します
  • このとき、まだデバイスにはIPアドレスがないため、送信元IPアドレスは0.0.0.0、送信先は255.255.255.255(ブロードキャストアドレス)です

2. 📨 Offer(提供)

  • DHCPサーバーが「はい、ここにいます。このIPアドレスを使いませんか?」と応答します
  • 利用可能なIPアドレスと、その他の設定情報(サブネットマスク、ゲートウェイなど)を提案します

3. 📝 Request(要求)

  • デバイスが「はい、そのIPアドレスを使います」と応答し、正式に提案されたIPアドレスの使用を要求します
  • 複数のDHCPサーバーからOfferを受け取った場合は、1つを選択します

4. 👍 Acknowledge(確認)

  • DHCPサーバーが「了解しました。このIPアドレスを使ってください」と最終確認を送ります
  • IPアドレスの「リース期間」(使用可能期間)も通知されます

!Image Description

🌐 BGP解説_インターネットを支える経路制御プロトコル

Network

📚 はじめに

インターネット上でデータがどのように転送されるかを考えたことはありますか?私たちが日常的に使用するウェブサイトやアプリケーションのデータは、送信元から送信先まで、世界中の無数のネットワークを経由して届けられます。この複雑な経路選択を可能にしているのが「BGP(Border Gateway Protocol)」です。この記事では、インターネットの「道案内役」とも言えるBGPの基本から仕組み、重要性までを初学者向けにわかりやすく解説します。

🤔 BGPとは?

BGP(Border Gateway Protocol)は、インターネット上の大規模なネットワーク同士を接続するための経路制御プロトコルです。現在使われているのはBGP-4と呼ばれるバージョンで、インターネットの基幹を支える重要な技術です。

🏫 たとえで理解しよう
BGPは「国際物流システム」のようなものです。東京から送った荷物がニューヨークに届くためには、複数の国や輸送会社を経由する必要があります。各国の税関(境界ゲートウェイ)では、「この荷物はこちらのルートで送ってください」という情報を交換し合うことで、最適な経路で荷物が届くようにしています。BGPもこれと同様に、異なるネットワーク間で「このデータはこのルートで送るのが最適」という経路情報を交換しているのです。

!Image Description

🏢 自律システム(AS)の概念

BGPを理解するためには、まず「自律システム(AS:Autonomous System)」という概念を理解する必要があります。

🏗️ 自律システムとは

自律システム(AS)とは、単一の管理者によって運営される、一貫した経路選択ポリシーを持つネットワークの集合体です。例えば、大手ISP(インターネットサービスプロバイダ)、大学、大企業などが独自のASを持っています。

  • 🔢 AS番号(ASN): 各ASには、IANAによって割り当てられた固有の番号があります(例:AS7018 = AT&T、AS15169 = Google)
  • 🌐 公共AS: インターネットに接続されるASには、グローバルに一意のAS番号が必要です
  • 🏠 プライベートAS: 内部でのみ使用されるASには、プライベートAS番号(64512-65534)が使用できます !Image Description

💡 初学者向けポイント
自律システム(AS)は「国」のようなものです。それぞれが独自の政策(経路選択ポリシー)を持ち、他の国(AS)との間で国境(BGPルーター)を通じて人や物資(データ)の行き来についての取り決めを行っています。

🔄 BGPの基本的な仕組み

📡 BGPセッションの確立

BGPは、TCP/IPのポート179を使用して、BGPルーター同士が「ピアリング」と呼ばれる関係を確立します。

  1. 👋 TCP接続: まず、両者の間でTCP接続が確立されます
  2. 🤝 OPEN: BGPセッションを開始する要求が送られます
  3. 👍 KEEPALIVE: セッションが正常に維持されていることを確認するメッセージが定期的に交換されます
  4. 📋 UPDATE: 経路情報(ルート)の追加・変更・削除が通知されます
  5. ⚠️ NOTIFICATION: エラーが発生した場合に送信されるメッセージです

!Image Description

🗺️ 経路情報の交換

BGPルーターは、以下のような情報を交換します:

  • 📍 ネットワークプレフィックス: 到達可能なネットワークの範囲(例:192.168.1.0/24)
  • 🛣️ AS_PATH: そのネットワークに到達するために通過するAS番号の列
  • 🚩 NEXT_HOP: 次にデータを転送すべきルーターのIPアドレス
  • ⚖️ その他の属性: LOCAL_PREF、MED、COMMUNITYなど、経路選択に影響を与える様々な属性

📊 経路選択のプロセス

BGPルーターは受信した複数の経路情報から、以下のような順序で最適な経路を選択します:

🌐 ネットワーク基礎講座 Part3_インターネット接続の仕組み

Network

📚 はじめに

Part1ではIPアドレスの基本、Part2ではプライベートIPとパブリックIPの違いについて解説しました。Part3では、これらの知識を踏まえて、「インターネットへの接続はどのように実現しているのか」について初学者にもわかりやすく説明します。

🌍 インターネット接続の全体像

インターネットは、世界中の無数のネットワークが相互接続された巨大なネットワークの集合体です。私たちのデバイスがインターネットに接続するためには、いくつかの重要な技術と仕組みが組み合わさっています。

!Image Description

🎓 なるほど!ポイント
インターネットは「ネットワークのネットワーク」です。私たちの家庭から世界中のWebサイトまで、たくさんの中継地点を経由してデータがやり取りされています。

🏠 家庭からインターネットへの接続経路

一般的な家庭のデバイスがインターネットに接続する流れを順に追ってみましょう:

1. 🏠 ローカルネットワーク内の通信

家庭内のデバイス(パソコン、スマートフォンなど)は、プライベートIPアドレスを使ってローカルネットワーク内で通信します。

例えば、あなたのパソコン(192.168.1.5)からルーター(192.168.1.1)へのデータの流れは以下のようになります:

送信元: 192.168.1.5(あなたのパソコン)
送信先: 192.168.1.1(ルーター)

!Image Description

💡 初学者向けポイント
家の中ではWi-FiやLANケーブルを使って、すべての機器がルーターに接続されています。 ルーターは家の中の「郵便局」のような役割を果たし、すべての通信を仲介します。

2. 🔄 NATによるアドレス変換

ローカルデバイスがインターネット上のサーバー(例:Googleのサーバー)と通信したい場合、ルーターのNAT(Network Address Translation)機能が重要な役割を果たします:

  1. パソコンから次のようなリクエストが発生

    送信元: 192.168.1.5:49152(プライベートIP:ポート)
    送信先: 172.217.161.36:80(GoogleのパブリックIP:HTTP)
    
  2. ルーターがNATテーブルを作成し、このリクエストを変換

    送信元: 203.0.113.45:33456(あなたの家のパブリックIP:変換後ポート)
    送信先: 172.217.161.36:80(GoogleのパブリックIP:HTTP)
    

!Image Description

🎓 なるほど!ポイント
ルーターは「通訳」のような役割を果たします。 家の中では家庭内専用の言葉(プライベートIP)を使う。 外に出るときは公共の言葉(パブリックIP)に翻訳している。 そして、誰からの問い合わせだったかを記録しておき、返事が来たら正しい相手に届けます。

3. 📡 インターネットサービスプロバイダ(ISP)の役割

あなたの家のルーターは、ISP(フレッツ光、ソフトバンク光など)のネットワークに接続されています。ISPは以下の役割を果たします:

  • パブリックIPアドレスの割り当て
  • インターネットバックボーンへの接続
  • DNSサーバーの提供(ドメイン名とIPアドレスの変換)

!Image Description

💡 初学者向けポイント
ISP(インターネットサービスプロバイダ)は、あなたの家と広大なインターネットを結ぶ「橋」のような存在です。月額料金を払うことで、この橋を利用する権利を得ています。

4. 🗺️ ルーティング:データパケットの経路選択

インターネット上では、データはパケットと呼ばれる小さな単位に分割され、最適な経路を通って送信先に届けられます。この経路選択をルーティングと呼びます。

🌐 ネットワーク基礎講座 Part2_プライベートIPとパブリックIPの違い

Network

📚 はじめに

Part1では、IPアドレスの基本概念について学びました。Part2では、ネットワークを理解する上で非常に重要な「プライベートIPアドレス」と「パブリックIPアドレス」の違いについて、初学者にもわかりやすく解説します。

🏠 プライベートIPアドレスとは?

プライベートIPアドレスは、ローカルネットワーク(LAN: Local Area Network)内でのみ使用されるIPアドレスです。家庭やオフィス内の複数のデバイスが、内部ネットワークで互いに通信するために使用されます。

🏘️ たとえで理解しよう
プライベートIPアドレスは、マンションの部屋番号のようなものです。マンション内では「301号室」といえば特定の部屋を指しますが、別のマンションにも「301号室」があるかもしれません。つまり、マンション(ローカルネットワーク)の中だけで有効な番号なのです。

📋 プライベートIPアドレスの特徴

  • 🏠 ローカルネットワーク専用: インターネット上では使用できず、ローカルネットワーク内でのみ有効です
  • 💰 無料で使用可能: インターネットサービスプロバイダ(ISP)からの割り当てなしで自由に使用できます
  • 🔄 重複可能: 異なるローカルネットワークであれば同じIPアドレスを使用できます(例:多くの家庭で「192.168.1.1」がルーターのアドレスとして使われています)

🔢 プライベートIPアドレスの範囲

IPv4では、以下の範囲がプライベートIPアドレス用に予約されています:

  • 10.0.0.0 ~ 10.255.255.255 (10.0.0.0/8)
  • 172.16.0.0 ~ 172.31.255.255 (172.16.0.0/12)
  • 192.168.0.0 ~ 192.168.255.255 (192.168.0.0/16)

!Image Description

💡 初学者向けポイント
家庭で使用するWi-Fiルーターでは、「192.168.xxx.xxx」の範囲が最もよく使われています。スマホやパソコンに割り当てられるIPアドレスもこの範囲になることが多いです。

🌍 パブリックIPアドレスとは?

パブリックIPアドレス(グローバルIPアドレスとも呼ばれる)は、インターネット上で一意に識別できるIPアドレスです。インターネット上のすべてのデバイスと通信するために使用されます。

🏙️ たとえで理解しよう
パブリックIPアドレスは、マンション全体の住所のようなものです。「東京都渋谷区〇〇町△△番地」という住所は世界中で一つしかなく、外部から郵便物を送る際にはこの住所が必要です。

📋 パブリックIPアドレスの特徴

  • 🌐 世界中で一意: インターネット上で重複することはありません
  • 📡 ISPから割り当て: インターネットサービスプロバイダから割り当てられます
  • 🔓 直接インターネットにアクセス可能: このアドレスを持つデバイスは、直接インターネットと通信できます
  • 👁️ 追跡可能: アクセスしたWebサイトなどに自分の「住所」を知らせることになります

!Image Description

💡 初学者向けポイント
インターネットプロバイダ(フレッツ光、ドコモ光など)と契約すると、あなたの家に1つのパブリックIPアドレスが割り当てられます。これが外の世界からあなたの家を識別するための「住所」になります。